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ドリルの使い分け
 
2003/02/27

電動ドリルが手に入りやすくなった今木材、金属、プラスチックに穴をあける工具としてドリルはより身近な工具となったが、一昔前に比べるとその種類が非常に多くなり選択に迷うかもしれない。 そこで目的別にそれらを整理してみたいと思う。

最初にお断りしておくことがある。 それはここで説明するのは電動ハンドドリル用のドリルに限るということだ。 ボール盤に取り付けて使うタイプは一般的でないしそれらを含めるとかなりの種類になってしまうためである。

穴あけスタイルによる分類

ドリルというと金工用か?それとも木工用か?を気にすることが多いのだが、私はどんな穴をあけたいのかによる分類の方が重要だと考える。 そのあけ方によって向き不向きが非常にはっきりしているからである。


1.所要の穴径の内部(底)を削って行くタイプ。

   なんか難しそうな表現をしているが、もっともポピュラーであり
   金工用のドリルでおなじみの物だ。

   穴径の種類も極めて多く中途半端な例えば3,2mmとか2,7mm
   なんていうのも入手しやすい。 木工用と名のつくドリルにはこ
   のタイプはないのだが、目的によってはこのタイプのドリルを使
   った方が木工用に都合の良い場合もあるし(後述)、小さな穴径
   用としてはこのタイプしかない。

   このドリルであけた穴の底は頂角の大きな円錐状になる。
   金工用以外にコンクリート用、ガラス用などもある。

   大小取り混ぜたセット用が格安で売られており金工用として多
   用するのでなければ充分使える。





2.円周に沿って切込んでから内部(底)を削り取るタイプ。

このタイプは木工用であり金工用のものはない。 また構造に4種類あって使用目的が少しずつ異なる。

 A 円周に沿って切り込む刃が片方に付いていて反対側は底面を
   削る刃となっている。
   先端に切られたネジのため押し付ける力が小さくてもぐいぐいと
   切り込んで行く力が強く貫通穴用に向いている。
   (逆に彫る深さをコントロールしにくいので途中で止めるような座
   繰り穴用には向かない。)


   穴径は5mm前後から30mmを超えるようなものまであり、深い貫
   通穴用に軸が極めて長い物も販売されているが廉価な電動ドリ
   ルとの組み合わせでは電動ドリルのチャックの最大取り付け径
   とトルクの関係で15mm程度が使用限度となるだろう。

   穴の底は真中に円錐状の窪みが、穴周辺に深い切り込みが出
   来て中間はほぼ平面となる。





 B 上と同じだが先端の部分にネジが切られていないもの。
   押し付ける力を加えないと切り込む力は弱いが彫りこむ深さの
   コントロールはしやすいので座繰り用にも使える。

   左の写真を見ても判るとおり先端の出っ張りも小さいので、穴底
   面の円錐状のくぼみも小さくなる。 
   建築用に使うのでなければ一般的にはこのタイプのドリルの方
   が使いやすい。

   もし入手性がよくなければ上記Aのタイプのドリルを購入し先端
   のネジ部分を目立てヤスリで削ってネジ山を潰してやれば同じ
   ことになる。







 C 円周を切る刃が両側についていいるタイプ。
   どちらかというと座繰り用に作られたドリルでドリル中心に対し
   対称に刃がついているので原理的に軸と直角方向のぶれが生
   じにくくなっており木工専用。

   従ってドリル径と実際にあく穴径の差が小さいのでダボ穴、木
   ダボ用の穴、ラミン棒で穴埋めをする場合などの座繰り穴用に
   適している。  但し切り込む力は弱いのでかなり押し付ける力
   はAやBよりも多めとなる。

   また軸と直角方向にぶれにくいといっても刃の切れ味が悪くな
   ったり材料の硬軟の差が激しい場合にはぶれて穴径が大きくな
   りやすい。
   販売されている穴径の種類は少なく、ダボ穴あけ用として位置
   決めジグなどとセット販売された物もある。

   穴の底面は中心が円錐状、周辺が切り込まれその間が曲面。


 D 座繰りに特化した構造のドリル。
   フォスナービットと呼ばれるこのタイプのドリルは座繰り穴専用
   に設計された木工用で、微妙な穴の深さのコントロールが容易
   でしかも穴底面の平面性が極めてよいのが特徴である。

   但し市販されている物は、スライド蝶番用の穴径(40.0、35.0、
   26.0)のものが殆どで穴径の種類は少ない。

   またフォスナービットの発展型とも言える横方向に移動切削でき
   るものも出てきている。









 E 穴径を可変できるタイプ。
   可変ビットと呼ばれAのタイプで円周切り込みの刃の位置が調
   節可能なものと思ってよい。 

   穴径が無断階で可変できるから中途半端な穴径をあけるにはも
   ってこいで、1本あれば数本の木工ドリルを購入したのと同じ効
   果がありコストパフォーマンスがすごく良く万能木工ドリルのよう
   に思えるが、穴あけの質はイマイチで回転時に振動やアバレが
   起こりやすく独特のクセと反動から来る危険性がある。

   メーカーの能書きには50mm以上の穴もあけられるような表現が
   あってもそれはボール盤との組み合わせで実現できると理解し
   た方が良く、私自身の経験では電動ハンドドリルで何とかあけ
   られるのは35mm程度までだと考える。

   また穴の底面は非常に複雑な形状となりお世辞にも綺麗な仕
   上がりにはならない。 















3.円周に切り込みや溝を掘っていって貫通穴をあけるタイプ

 代表的なものはホールソーで鋼鉄の筒の縁が金ノコになった物と考えればよい。

 大きなものになると直径数百mmの穴もあけられるが座繰り穴あけは不可能であり、穴の深さは円
 筒部分の内部の高さが限度となる。

 また金属用に設計されている物が多い為価格も高い(数千円から万単位にもなる)ことも玉に瑕!

 というか木工の場合には直径数十mmを超えたら電動ジグソーであけられるから日曜大工的には
 余り必要性はないと私は考える。


電動ハンドドリルで穴あけをする時の注意と勘所

1.穴あけ位置を正確にするには下穴が絶対必要。
  金属に穴をあける際のみならず木材に穴をあける場合にも穴位置を正確にしようと考えたら下穴が必要である。
  金属の場合下穴無しでいきなりあけようとすると横方向に滑って位置が定まらないが、木材の場合にはたまたま木目の硬い
  所であると、やはりつるっと滑って穴位置がずれてしまうためである。

  金属の場合にはセンターポンチで円錐状の凹みをつけるが、木材の場合にもセンターポンチを使うがセンターポンチの替わり
  に釘を使っても良い。 またキリで数ミリの穴をあけても良い。

2.極力材料に直角にあけるよう努力する。(実用上問題ない直角度を意味する)
  材料に直角に穴があかないと後で不都合が発生することが多い。
  とは言ってもハンドドリルでこれを守るのは意外に難しく一人で作業したらいくら訓練しても直角にはあけられないようである。

  これを実用上問題ない程度に実現する最も簡単な方法は二人で穴あけの作業をすることだ。
  方法論は電動ドリルを握った人は横方向(肩幅方向)の直角度が出るよう専念してドリルの先端を材料に当てる。
  もう一人の助手は(奥さんでもお子さんでも良い)ドリルを握った人の横に立ち、ドリルを持った人の前後方向の直角度を監視
  してずれていたら、「もっと前」、「ちょっと後ろ」等のようにアドバイスする。

  これだけなのだが直角度の出具合は格段に良くなる。

3.金工ドリルを木工ドリルとして使った方が良い場合もある。
  木材には木工用ドリルを使った方が良いかというと必ずしもそうではない局面が出てくる。
  例えば均質性が余りない(硬い所と柔らかい所の差が大きい木材)場合には、穴あけの途中で食い込んでしまったり、穴あけ
  方向が傾いてしまったり、ずれたりすることがある。

  こんな場合には金工用のドリルの方が具合良く開けられることが多い。
  また金工用ドリルの方が中途半端な値の穴径のものの入手性が良いから例えば8φのダボ穴をあけるのであれば、7.7φの金
  工用ドリルを使い、きつめの穴をあけるということも簡単に出来る。(一般にドリル径よりも若干大きめの穴があくため)

  木工用ドリルとうたってあるものは円周上に切込みを入れてゆくタイプになっているが、これは穴の切り込み面を綺麗にバリが
  出ないようにとの配慮からであり、その点では金工用ドリルでは原理上バリが出やすい。

  但し刃の切れなくなった木工用ドリルであると、金工用ドリル以上にバリというか円周上の切り口は汚くなるのと、通常の木工
  ドリルの刃は軸に対し対称に配置されていないから放射方向のぶれの為切り口が汚くなることがあるということを考えておか
  ねばならない。  また5mm以下の直径になると木工用ドリルは存在しないので、金工用ドリルのお世話になる。


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