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デスクトップ小型アンプ
   
2010/11/25

構想              (註: 本テーマに関する全てのご質問はお受けできません)

 低周波発振器が完成したので動作をより正確にチェックできるオーディオ
 アンプが作れるようになりましたので、懸案の所有するLPレコードのCD化を
 実現するアンプを作ることにしました。
 とは言ってもそれ程大袈裟なものではなく、右写真に見えるUSBオーディオ
 アダプターとレコードプレーヤーの間に繋ぐ、インターフェース的な物で、
 書斎で使う省スペースアンプという側面も兼ね備えています。

先ず仕様について簡単に説明しておきます。

  1.LPレコード用のイコライザーアンプを内蔵していること。
    LPレコードプレーヤーには電磁型のカートリッジが付いておりますが、
    カートリッジの出力電圧は大変低いので周波数の補正をしながら増幅
    するイコライザーアンプが必要になります。 購入したUSBオーディオ
    アダプターにもイコライザーは内蔵されていますが、ヘッドフォーンアン
    プを含め余り高性能ではなさそうですので、今回製作のアンプに内蔵し
    ます。                                           USBオーディオアダプター (オンキョー SE-U33GXV)

  2.録音レベルを調整できるよう独立したレベルコントロールを有する録音出力端子を持つこと。
    ADコンバーターに送り込む時に適切な信号レベルにする必要がありますが、接続するUSBオーディオアダプターによっては
    その調整が出来ない物があるので、専用のレベルコントロールを持たせます。 尚必要な信号レベルが判らないので、AUX
    標準入力レベルの100mVに対し最大出力レベルを1Vか3.2Vに切り替えられるようにします。

  3.机上のスピーカーを駆動する10W程度の出力を持ったパワーアンプを内蔵すること。(音質はあまり拘らない。)
    私の机の上のスペースの有効利用のために、これまで使ってきたデンオンのアンプは家内の家事スペースで使うアンプとし
    て、今回作るアンプを私のデスクトップアンプとして使いますが、極力薄くして棚の下にぶら下げることを考えています。
    真剣に聴く時はヘッドフォーンを使いますので、音質はそれほど拘りません。

  4.高い音質を持った16-300Ωのヘッドフォーンに対応できる専用アンプを内蔵する事。
    真剣に音を聴く場合にはヘッドーフォーンを使う習慣が身に付いているのと、深夜でも気兼ねせず音量を上げられるので、
    スピーカーよりも重要度が上がっています。 LPのCD化でも音の確認は重要ですからヘッドフォーンアンプの質は十分に
    高めておきたいと考えています。 詳しくは後ほど説明します。

  5.棚の下にスライドイン・アウトが出来極めて薄いこと。
    このアンプは折に触れてポータブルで使用する予定でいます。 従って極力筐体は薄く(45mm程度)で軽量にしておき、
    スライドイン/スライドアウトができる構造と結線がしやすい構造を健闘したいと考えています。 その結果現在置いてある
    アンプは無くなり、310 x 260x 420の空間を別な目的に使えるようになります。


ブロックダイアグラムの検討

 電気回路構成を最初に固める必要がありますが現在の構想は次のとおりです。
 入力は、Phono 1系統、RCA Pin/Mini-Phone Jack AUX 1系統(以上背面)
 RCA Pin/Mini-Phone Jack AUX 1系統(前面)の入力3系統とします。

 RCA Pin/Mini-Phone Jackと
 いう表現は、1つの系統でRCA
 Pin JackかMini-Phone Jack
のどちらかが使えます!ということです。 入力は3系統しか選択できませんが、
2系統はRCA Pin Jack、Mini-Phone jackどちらでもOKになり、勿論アダプター
は要りませんから便利です。 具体的には右のようなMini-Phone Jackに内蔵
されているスイッチで切り替える事になります。

それら3系統からロータリースイッチで選択した信号はバッファー回路に入りま
す。 そして3つの独立したVRを通って録音信号出力、スピーカー駆動パワー
アンプ、ヘッドフォーンアンプに分岐されます。

イコライザーアンプは43倍(32.7dB)のゲインを持ちますので、2.3mVのカートリッジ出力を標準AUX入力レベルの100mVまで増幅することになります。

イコライザーアンプの出力と2系統のAUXから入ってくる信号はロータリースイッチで選択されバッファーアンプに送り込まれます。 その出力には3つのボリュームコントロールが並列に入り、それぞれが録音出力信号アンプ、スピーカー駆動アンプ、ヘッドフォーンアンプのレベルコントロールとなります。

録音信号出力アンプはゲインが10倍(20dB)か32倍(30dB)切替のフラットアンプです。 標準入力レベルに対して最大出力は1Vないし3.2Vということになります。

スピーカー駆動パワーアンプは既に3回使っていて素性の判っている東芝のTA8220Hを使います。 4Ωのスピーカーを標準として考えますが、アンプのゲインは63倍(36dB)に設定します。 このゲインはメーカーの推奨ゲインよりも低いですがポータブルPC用スピーカーで試してみて発振などトラブルが起きない事を確認済みです。 こうすると入力信号100mVでフルパワー(約10W/4Ω)が取り出せます。

ヘッドフォーンアンプは増幅度が切り替えられるようになっていますが、これはハイインピーダンス ヘッドフォーンでは高い出力電圧が要るのに対し、ローインピーダンス ヘッドフォーンでは出力電圧は抑え気味にしたいためです。 詳しくは後述しますが、16-300Ωのヘッドフォーンに対しゆとりを持って駆動が可能!というのが目標です。

以上のイコライザーアンプ、バッファーアンプ、録音出力アンプ、ヘッドフォーンアンプには、物理特性が飛びぬけて優れたオーディオ用オペアンプ(LME49720)を全面的に使用することを考えています。


ヘッドーフォーンアンプをどうするか

微妙な音の聴き分けにヘッドフォーンを使う事が多いので、ここはかなり拘りたいと考えています。 2ヶ月前に完成したChu Moyタイプのアンプは大変簡単な構成ながら非常に高度な音質で気に入っておりまが、ひとつだけ弱い部分があると考えています。

それはインピーダンスが極端に高かったり或いは低いヘッドフォーンを十分に駆動する能力が低い事にありますが、少し突っ込んだ理解をするためにヘッドフォーンを駆動するアンプの出力はどの程度必要かの試算をして見ます。

まず必要な音量レベルですが、鼓膜が破壊するレベルは120dB近辺と言われておりそれより若干低い110dBあれば充分でしょう。(鼓膜破壊レベルの1/10のエネルギーになりますが、指揮者が立っている位置で聴こえる最大音量とも言われています。)

一方ヘッドフォーンの変換能率はメーカーや機種によって様々ですが、ざっと平均すると1mWの入力で100dB前後の音圧レベルです。 従って必要な最大音量レベル110dBを得るには10mWの入力信号が必要になります。 若し使うヘッドフォーンの変換能率が6dB低い94dB/mWであったとすると、必要な入力信号は4倍の40mWが必要になります。(実は現在物色中のヘッドフォーンで音は良いのだが変換能率が低い物として94dB/mWの物があったので触れています。) 最も低い物としては90dB/mWなんて物もあるかもしれません。

さてヘッドーフォンのインピーダンスはスピーカーシステムなどに較べると非常に幅が広く、16Ω-300Ωと考えないとならないと思います。 傾向としては高いインピーダンスの物は高額で高級な物に多いようですが、低いインピーダンスだからと侮れないような力の入ったヘッドフォーンも最近はあるようです。 そこで16Ωと300Ωで変換能率が100dB/mwと94dB/mWのヘッドーフォーンから最大110dBの音量を得るのに必要な入力電力、電圧、電流を一覧にしてみました。

  変換能率 必要入力電力 必要入力電圧 必要入力電流
16Ωヘッドフォーン 100dB/mW 10mW 0.57V 25.0mA
300Ωヘッドフォーン 100dB/mW 10mW 2.45V 5.8mA
16Ωヘッドフォーン 94dB/mW 40mW 0.80V 50.0mA
300Ωヘッドフォーン 94dB/mW 40mW 3.46V 11.5mA

これは私の独断的所見ですが、上の表で緑色で示したのは、9V電池で駆動するChu Moyタイプのアンプにおいて、出力電圧若しくは出力電流が十分に取れない可能性を示しています。  電池が弱って電圧が下がるとこれらは赤字に変わるでしょう。 その赤字で示したのは、9V電池駆動のChu Moyタイプアンプは能力不足で対応できない事を意味しています。

因みに私が現在使っているヘッドフォーンはDENONAH-D1000でインピーダンスは32Ω、変換能率は103dB/mWと僅かながら変換能率が高い事もあり(100dB/Wの物に較べ同じ音量を得るのに半分のアンプ出力でよい。)、9V駆動 Chu Moyタイプアンプでも問題ありません。 

但し音質に満足していないため追加購入しようとあれこれ試聴していますが音が良いだけでは駄目で、締め付け過ぎない装着感でありながら空気漏れが少ない、長時間聴いていて頭が痛くならず軽量である、等々それらの妥協線を見つけるのは容易ではありません。 そしてそれらの候補はインピーダンス55Ω変換能率94dB/mWとかインピーダンス300Ω変換能率103dB等と幅広くばらついています。

それらからどれを選択しても問題ないようにヘッドフォーンアンプを考ないといけない訳ですが、私の大雑把な計算では電源電圧を±6V以上に引き上げる事とアンプの電流出力能力の倍増が図れればほぼ解決できると考えています。

電源については±12Vでイコライザーアンプ、バッファーアンプ、録音出力アンプ、ヘッドフォーンアンプを駆動することにしています。 従って電源電圧の問題は解決しますので、アンプの出力電流の倍増方法を考えれば良いわけです。

 インターネットで色々調べてみると出力電流を増強する方法として最も人気があ
 りそうなのは、トランジスターでプッシュプルのバッファーアンプ(電圧増幅は無くて
 電流増幅を図るアンプ)
を組み、オペアンプに追加するタイプです。
 中でもダイヤモンドバッファーと呼ばれる方式を支持する声が大きいようです。

 これはこれで良いのですが、高性能を得るには特性が良く揃ったトランジスター
 (選別が不可欠)を使う事や、熱暴走問題が起きないための対策を始め色々気を
 つけないとならない点があるので、結構難しい面もあるように思います。

 そこで更に調べまくった所、A47アンプというのものが出てきました。
 左はオペアンプのOPA2604の技術資料に掲載されているものですが、A47アンプ
 の典型的な例で、『負荷に送り込む電流を倍増出来る!』との注釈が付いて
 います。

 このアンプの構成は、Chu Moyタイプのアンプ(青点線内)の出力をボルテージフォロワー(赤点線内)に送り込み、それらの出力を51Ωの抵抗で合成し出力電流増加を図ったものと考えられます。 使われているボルテージフォロワーを追加すれば出力電流は更に増大可能です。 このアンプの良い所は非常にシンプルであることで、Chu Moyタイプのアンプにオペアンプと2本の抵抗を追加するだけで実現します。

試作例を幾つか見たところ低インピーダンス駆動に強いオペアンプを使うと歴然とした効果があるようです。 私の好きな『シンプル イズ ベスト』にも適う事と、熱暴走問題や部品選別などを考えることなく製作できますから、電流出力増強の有力候補として設計を進めてみようと考えています。



2011/12/02

構想の続き

 アンプの上背は最大で50mm程度に抑えたいと既に決めています
 が、幅や奥行をまだ決めていません。 そのうち奥行については
 160mm以下にしないとスピーカーのバスレフポートに被ってしまうの
 で、150mmの奥行と決めました。

 残る幅ですが私がいつも購入するケースの専門店で、350 x 150 x
 40mmのアルミシャーシを販売しているのを発見しました。 高さは
 40mmと若干低すぎる感じがしますが、この上は60mmになってしま
 いますので、40mmで製作可能かどうか仮検討します。
 またシャーシですから蓋をどうするかも別途考えないといけません。

 このシャーシに取り付けるブロック(回路基板)は、スイッチング電源
 基板、スピーカー駆動アンプ基板、イコライザー基板、スタンバイコン
 トロール回路/±電源基板、バッファーアンプ/録音信号アンプ/ヘッ
 ドフォーンアンプ基板の5枚になります。

それらブロック全てを含む回路は上の通りですが、これを元に各基板のレイアウトを組んで基板サイズを決定して、前述のシャーシにうまく収まるかどうかの検討を加えました。(この回路はあくまで構想検討用であり、最終的には定数や使用部品が変更になる可能性があります。)

 但し基板サイズだけはほぼ決まっていますので、それを元に全体のレイアウトを検討し
 ており、左の図がその結果です。

 高周波ノイズ発生源となる 12V 4.3A スイッチング電源と±15V出力DC-DCコンバータ
 ーを含むスタンバイコントロール/±電源基板はシールド板で仕切った中に入れ、左奥
 に追いやります。 スピーカー駆動用アンプはシャーシの背面を放熱用に使いますので
 位置の自由度は低く背面中央に置いています。

 その右側の開いた空間にAUX 1とPhono端子が入ります。 Phono端子の直近にイコ
 ライザーアンプ基板が配置され、シールドケーブルなど使わずに接続できればと思います。 そのイコライザーアンプは雑音源から最も遠い位置に設置されることになります。

そして録音信号アンプ/バッファーアンプ/ヘッドフォーンアンプは細長い基板にまとめて前面パネルに接近させて固定します。

こうした時の問題点としては前面に出るツマミやスイッチの使いやすさやレイアウトの美観ですが、この後説明する問題もあり、上下のほぼ中央横一直線に、ツマミ、スイッチ、コネクター等を並べるレイアウトとしています。


大変変わった使い方

 左の図はこのアンプの極めてユニークな使
 い方を表しています。 この図の上1/3が
 書斎内で使っている時で、棚から5mm程
 隙間を持たして吊り下げる構造です。

 この時アンプの仮面と机の上面の間の距
 離は410mmもありますので、かなりの空間
 が有効利用可能となります。 パネル面に
 入る文字は操作するツマミ等の上方に入
 れることとします。   そしてアンプ全体は
 引き出しと似た構造を使ってスライドイン/
 アウト出来るものとします。

 一方外して使う場合には上下を逆さにして
 置きます。 下2/3がそのイメージ図です。
 どうしてそんな変な事をするのかというと、
 接続端子は常識的な背面パネル取り付け
ではなく、書斎で使う時には底板の一番奥に付き下向きです。 従ってアンプを固定状態でもプラグの抜き差しや配線が可能になります。 一方アンプを外して使う時には逆さに置く事により接続端子が上向きになるようにします。 当然ながら上から覗きこんで配線が出来ます。  ようするにどちらの場合も接続したり外す操作が背面に接続端子がある場合よりもやりやすくなります。 但し外して使う場合には前面パネルに入れた文字が逆さになり読み難いので次のような解決策を考えます。

アルミパネルは断面がL字型の物を使いますが、アンプを外して使う時にアルミパネルの幅の短い部分が上面手前に来るようにし、ここにも文字入れをしておきます。 アンプの厚みが薄ければこちらの文字の方が見やすいのでそれらを読むようになります。 外して使う時には前面の文字は逆さになり目立たない方が良いので、最も低い位置となってツマミに隠れるくらいの方が都合が良いわけです。

これはアンプの厚みが薄いということから考え出したもので、お前あほか? との声が聞こえてきそうですが私は結構真剣に考えています。

 アンプの厚み(高さ)を薄くするのは当然ながら様々な基板が干渉することなく収ま
 るのかどうかが問題です。 そこで筐体の組立構造を含め検討しました。
 組み立て構造としては高さ40mmのシャーシを空いている部分を上に向けて置き、
 その手前にL字型のアルミアングル材を引っ掛けています。 アルミアングル材は
 2mm厚ですので、総高さは42mmとなります。 それに4mm厚の板(多分シナ合板)
 で上下を挟みますが、上の板の一番手前はアルミアングル材のところで止めます。
 従ってこの部分には2mmの段差を生じます。

 こうした時にL字型アングル材の下には高さ、奥行共に2mmの隙間が出来ますが、これはデザインの一部として考えます。 前面の裏に固定する細長い基板は1mmアルミ板を曲げたサブパネルに固定します。 固定方法は基板に高さ10mmの下駄を介して固着された3個の可変抵抗の固定ナットによります。 また基板の後ろ側は4箇所で5mmのスペーサーを挟んで、シャーシー底部分に締結します。

この構造とした時にロータリースイッチ本体は基板に干渉しませんが、ロータリースイッチの端子の先端が電解コンデンサーに接触する可能性があります。(図では縦の茶色の点線が端子の先端位置を表し、青の長方形は電解コンデンサーを表しているがそれらが横方向からは重なって見える。) その場合には端子を少々切り詰めようと考えています。 また上背が最も高い部品は電解コンデンサーですが、その上方には15mmほどの空間があり問題ありません。

取り付ける基板の中で一番心配なのはパワーアンプ基板で、特に今回は大容量電解コンデンサー(2200μF 16V)を2個も載せます。 この電解コンデンサーは高さが25mmありますが、この基板に含まれるパワーアンプICが背面の放熱板中央に取り付けられる位置とした時に、コンデンサーの上面とシャーシの空間は約5mm残ることが判りました。

検討の結果は一応問題はなさそうですが、総高さ48mmと希望の50mm以内に収まります。 そしてこれ以上縮めようがないほぼ限界であることが判りました。 これで各基板の製作、動作確認、調整に進めそうです。



2011/12/09

ヘッドフォーンアンプ回路テスト

このアンプで使う各ブロックの中でヘッドフォーンアンプだけは私は全く未経験な回路を使います。 未経験とは言ってもバッファーアンプをChu Moyアンプに並列に繋ぎ重たい負荷にも耐えられるという単純明解な構造ですから、その辺りを一度確認しておきたいと思います。

実験 1

 最初の実験はバッファーアンプ無しで得られる性能です。 実験回路は左の図のとおりでChu Moy
 アンプそのものですが、回路定数は少し変えました。 繋がるヘッドフォーンのインピーダンスにより
 ゲインを3.2倍(10dB)または10倍(20dB)に切替えますが、最大出力とゲインは直接的に関係すると
 は思えませんので3.2倍だけで測定します。 入力に入った2本直列の抵抗(49KΩ)はボリュームを
 最大にしたときを模しています。
 負荷抵抗は16-300Ωのヘッドフォーンが使用対象ということで、15Ω、
 27Ω、47Ω、82Ω、150Ω、270Ω、470Ωの抵抗を負荷として使い、
 クリッピング出力がどのくらい取れるのかを調べます。
 この抵抗は手持ちの各値の1/4Wの誤差±5%の抵抗を直列・並列で
 1本と同値でワット数は1Wとした物を使いました。(右の図参照)

電源電圧は±12Vを使います。 またオペアンプは2回路入っておりますが、片方は動作している方に悪影響が出ないようボルテージフォロワー結線とし、+入力はGNDに接続しておきます。

実験を始める前には周波数を変えた時に駆動能力の違いが大きく出るのではと考えましたが、スポットチェックではごく僅かの差(1dB以内)でした。 そこで1KHzの時だけに絞り、負荷抵抗は予定通り変えて最大出力電圧を測定しました。 そしてその結果は以下のとおりです。

      バッファー無しA47アンプのクリッピング出力
  ゲイン設定 負荷抵抗 15Ω 27Ω 47Ω 82Ω 150Ω 270Ω 470Ω
  3.2倍(10dB) 入力電圧 134mV 240mV 424mV 707mV 1.27V 2.12V 2.40V
  出力電圧 0.41V 0.78V 1.34V 2.26V 4.10V 6.72V 7.78V
  出力電力 11.2mW 22.5mW 38.2mW 62.3mW 112mW 167mW 129mW

これを見て確認できる事は、まず16Ω時に必要な出力電圧は0.8Vでしたが、1Ω低い15Ωで0.41Vと半分の値になっています。 16Ωの負荷抵抗の場合少し出力電圧は上がりますが、約半分足らないと言っても良いでしょう。 また300Ωの時には3.46Vの出力が必要ですが、それより低い270Ωで既にそれ以上の出力電圧となっていますから十分な値が得られています。

これらよりChu Moyアンプは9Vの電源電圧で、音圧レベルが100dB/mW程度あるヘッドフォーンであれば、10Ω-300Ω位のインピーダンスに対し駆動能力がありそうです。(9Vの時300Ωで20mW位の最大出力が得られると試算!) 改めてChu Moyアンプはバランスが取れた合理的な設計だと思いました。


実験 2

 実験 1を踏まえてChu Moyアンプにバッファーを追加したA47アンプの実験に入りました。
 実験回路は左のとおりで、Chu Moyアンプの出力はバッファーの+入力に入ります。その出力と
 Chu Moyアンプ出力はそれぞれ33Ωを通して結ばれ出力となりますが、2.2KΩの帰還抵抗はそこへ
 接続変更となります。

 実験1と同様ゲインは3.2倍のみとしていますが、Chu Moyアンプとバッファーアンプを接合する部分
 に入る2本の33Ωの抵抗はオリジナルでは51Ωになっています。 これはChu Moyアンプとバッファ
 ーアンプの干渉を防ぐためのものと考えられますが、これまでに試作された方でより低い抵抗にした
 方が出力電圧は高く取れるとした報告があります。

 そこで私も原回路の51Ωとより低い33Ωで実験を進めそれらの違いを確認することにしました。(回路図に33/56と記載してある理由です。)  この実験回路ではもう1個のLME49720を追加して片側だけを使いましたが、1個で実験回路を組む事も可能です。 結果は以下のとおりです。

      バッファー付きA47アンプのクリッピング出力(33Ω使用時)
  ゲイン設定 負荷抵抗 15Ω 27Ω 47Ω 82Ω 150Ω 270Ω 470Ω
  3.2倍(10dB) 入力電圧 269mV 492mV 823mV 1.38mV 2.11V 2.26V 2.33V
  出力電圧 0.85V 1.56V 2.62V 4.39V 6.72V 7.25V 7.43V
  出力電力 48.2mW 90.1mW 146mW 235mW 301mW 195mW 117mW


      バッファー付きA47アンプのクリッピング出力(56Ω使用時)
  ゲイン設定 負荷抵抗 15Ω 27Ω 47Ω 82Ω 150Ω 270Ω 470Ω
  3.2倍(10dB) 入力電圧 276mV 495mV 831mV 1.39mV 1.98V 1.16V 2.31V
  出力電圧 0.85V 1.56V 2.62V 4.41V 6.36V 6.89V 7.43V
  出力電力 48.2mW 90.1mW 146mW 237mW 270mW 176mW 117mW

これらを見ただけでは判然としないので、実験1の結果も含めて、A47アンプの低インピーダンス駆動能力がどうなのかをグラフ化しました。



82Ω以下の低い負荷抵抗の場合にはバッファー無しの時に対して3.8-4.3倍出力電力が増大します。 これはバーブラウンがOPA2604の技術資料で述べている『出力電流を倍増出来る回路!』が正にそのとおりであることを確認できたわけです。
(出力電流が2倍になれば出力電力は4倍になるが、100Ω以下の負荷でそれが出ている。)

但しそのご利益は負荷インピーダンスが82Ωを超えると急激に減少し、150Ω以
上では出力電力が下がり出しバッファーアンプ無しとの差が無くなって来ます。
何故そうなるかを簡単に説明しておきましょう。

右の図をご覧ください。 オペアンプ回路の[電源電圧が一定 = 出力電圧が
一定]
、または[出力電流一定値 = オペアンプの最大出力電流]の場合の
負荷抵抗と出力電力の関係を表しており、電圧一定の場合には反比例、電流
一定の場合には正比例となります。   実際のアンプではどうなるかというと、
負荷抵抗が低い領域では最大出力電力はアンプの出力電流供給能力で決ま
り、負荷抵抗が高い領域では電源電圧で決まりますので、山型のグラフを呈し
ます。(右図の赤と青の実線) 上のグラフは正にそれで150Ωを頂点とした山
型となっており、150Ω近辺がターニングポイントになります。

頂点の左側では電流供給能力が重要になるのでバッファーアンプの効果が大
きいわけですが、頂点の右側では電流供給能力よりも電源電圧が重要になる
領域の為バッファーアンプを入れたご利益が出なくなるわけで、決してオペアンプの問題ではありません。

これを拡張して考えると、更にバッファーアンプを増やしてやれば出力電流供給能力が上がり、150Ω以下の負荷抵抗でのパワーがアップし頂点は左にずれるでしょうし、電源電圧を上げれば150Ωより高い負荷抵抗でのパワーが増大し頂点は右にずれるはずです。

実測の結果では16-300Ωのヘッドフォーンに対し40mW以上の電力を供給できる能力(クリーム色のエリア)が既にありますので、バッファーアンプの更なる追加や電源電圧の増加は不必要だと思います。

Chu Moyアンプとバッファーを接続する部分に挿入する抵抗については、最大出力が電源電圧によって決まる領域で低い値の方が出力電力が大きくなる(駆動能力が高まる。)のが確認できていますが、今回の実験以上に抵抗の値を下げても問題が出ないのかは判断できません。  しかし実験した33Ωでは発振したり動作不安定になることはなかったのと56Ωの時よりも高い負荷抵抗での出力電圧が取れますので、33Ωにて進めて行きます。

A47アンプは幅広いヘッドフォーンに対し十分な駆動能力が得られる事が確認できましたが、ひとつだけ心に留めて置くべき点があります。 それはヘッドフォーンアンプのゲインです。 私の仮説では40mWの出力が得られれば良いわけですが、300Ωの場合3.46Vの出力電圧になります。 また16Ωの場合には0.8Vですが、それらの出力電圧に対し入力電圧は前者の場合はゲイン10倍で346mV、後者はゲイン3.2Vで250mVとなり、標準入力電圧より2.5-3.5倍高い値になります。

と言う事は入力電圧不足で十分な出力が得られない可能性があるわけです。 これを解決するには更にゲインを上げる必要が出てくるのですが、経験則ではそんなことまでしなくても入力電圧不足は感じておりません。 実際にヘッドフォーンアンプのゲインが20dBより高い例なんてお目に掛かった事がありません。 それどころかゲイン1(0dB)のヘッドフォーンアンプすら存在します。 それは実際の信号レベルが100mVよりかなり高いからだと私は理解しています。

これでA47アンプの優秀な低負荷駆動能力が確認できましたので、回路全体をもう一度確認して各基板のレイアウトを最終のものとしたいと考えています。




2011/12/16

各基板レイアウト検討

まだ定数の変更はありうるもののかなり最終に近いと思う回路及び基板レイアウトの検討を致しました。 回路については以前紹介したこちらはアップデートされています。

 A47型アンプの動作が大変満足すべき結果を得ましたので、全ての基板レイアウトを詰めました。
 スピーカー駆動アンプ基板は以前起したレイアウトに大容量電解コンデンサーとショットキーバリヤー
 ダイオードを追加するだけですので、簡単に終わりました。 左の図がそれですが、青点線で示した
 1000PFのコンデンサーだけは裏付けとしました。 それとこの図は部品取り付け面側を見ています
 が、実際にはひっくり返して取り付けるようになります。 それは電源接続点がこの図面では右にありますが、実際にはこの基板の左側に電源回路が配置されるためです。

 次にイコライザーアンプ基板について触れておきましょう。
 イコライザーアンプは入力信号レベルが2-3mVという小信号ですから、周りの
 ノイズを受けやすいため電源回路から最も離れていてしかも入力端子に近い
 所にレイアウトされます。 この回路の中の帰還回路部分は抵抗3本とコンデ
 ンサー2本から成りたち、低域をブーストして高域はカットするRIAA補正をして
 います。
左上の図左側が設計値です。 この中には88.4KΩや0.036μFなど既製品では存在しない値の抵抗やコンデンサーがありますが、図の右側のように抵抗はE12・E24系列、コンデンサーはE12系列の値を組み合わせて設計値に近い値が出るようにしています。 こんなところからこの回路だけはオペアンプの周りに取り付ける部品が多くなってます。 それとレイアウトでは表現されませんが、この基板だけはノイズの発生が少ない金属皮膜抵抗を全面的に使います。

 次がスタンバイコントロールと電源の基板です。 左の基板のレイアウトで中央に位置しているのが
 DC-DCコンバーターで、その左側がスタンバイコントロール回路、右がDC-DCコンバーターの±15V
 出力を電解コンデンサーを通した後に3つのコネクターに導きます。 取り敢えず必要なのは2系統な
 のですが、場合によってはイコライザーの前にMCカートリッジ用のヘッドアンプ追加の可能性がある
 ため3系統としています。
 スタンバイコントロール回路はスピーカー駆動アンプを使う、使わないを制御するわけですが、実は
パワーアンプのON/OFF時に発生するショックノイズを完全に抑えます。 その方法はパワーアンプIC
に含まれるスタンバイ機能を使い、ショックノイズが発生する時(電源ON/OFFの電源電圧の上がり下がり。)にはスタンバイONと
してアンプの動作を停止することによります。

電源ON時には自動的にスタンバイモードはONで(スタンバイピンが0V。)、アンプは動作を停止しておりますからショックノイズは
発生するものの、スピーカーからは何も聞こえません。 スタンバイスイッチをON側に倒すと12Vの電圧がスタンバイピンに掛かり、
アンプは動作状態になります。 これが電源ON時の動作です。

次に電源スイッチがOFFになった、電源コードが抜かれた、スタンバイスイッチをOFF側に倒したのいずれかが発生すると、スタン
バイ回路は即遮断されスタンバイピンの電圧は0Vになり、アンプは通電していても動作を停止し音が止まります。

この間アンプの電源には大容量コンデンサー(4,400μF)が繋がっているので、アンプには短時間継続して電流が送られその後に
電源電圧が下がり出しショックノイズが発生しますが、その際スタンバイモードはONであるためスピーカーからノイズは出ません。

尚アンプ基板にはショットキーバリヤーダイオードが入っていますが、これは大容量電解コンデンサーからスタンバイコントロール回
路に電流が逆流するのを防止し、スタンバイコントロール回路が即遮断する働きをします。

 最後がバッファアンプ、録音信号増幅アンプ、ヘッドフォーンアンプが入った細長い基板で左の図です。

 バッファーアンプはオペアンプを使ったボルテージフォロワーで、ゲインは1倍しかないのですが、出力インピー
 ダンスが低いので信号を3分割することによる損失を最小限に抑えられます。

 録音信号増幅アンプはゲインを切り替えられますが、設計値として34/9.8倍としました。 尚スイッチで切り替
 える際に帰還抵抗が入らない(Open)の状態になるとアンプは裸ゲイン(140dBで10,000,000倍)になり、ショッ
 クノイズ発生を始め大変危険な状態となります。 そこでスイッチが切り替わる時にでもゲインは34倍に留まる
 回路としています。

 これら2つのアンプへは電源基板から送られてきた±15Vを47μFの電解コンデンサーを通して電流供給します
 が、残るヘッドフォーンアンプへはショットキーバリヤーダイオードを通して2,200μFを通過した電流が送り込ま
 れます。 この理由は上のスタンバイ回路と似ており、オペアンプが電源電圧の上昇・下降の際に発生する
 ノイズ(ノイズ発生量はオペアンプによって随分異なる。)を阻止して、耐入力の低いヘッドフォーンを保護する
 という点にあります。

 但しヘッドフォーンアンプ回路にはスタンバイ回路がありませんから、その目的を果たせるよう22KΩ、10μF、
 2SC1815GR、そしてリレー(G6A-274P)を組み合わせた遅延回路を使っています。

 計算上は電源スイッチがONとなってからこのリレーが動作しヘッドーフォーンが繋がるのは0.7秒後になりま
 す。 その前にオペアンプは電源電圧上昇時のショックノイズを発生しますが、ヘッドフォーンが繋がっていま
 せんからショックノイズで壊れる事はありません。

電源がOFFとなった時にリレーは即遮断し、ヘッドフォーンの接続は解除されますが、この間にオペアンプは2,200μFのコンデンサーからの放電電流で動作が若干継続し、その後に減電圧によるショックノイズが発生しますが、ヘッドフォーンは接続解除されているのでセーフという訳です。

ここでもヘッドフォーンアンプのオペアンプのみにコンデンサーからの電流が供給されるようショットキーバリヤーダイオードで逆流を防止しています。 尚ダイオードの後に30Ωの抵抗が入っていますが、これは電源ON時にはDC-DCコンバーターの出力電流が過大になると動作が異常になる可能性があるので、それを0.5A以下に抑える目的で入れてあります。 定常状態ではオペンアプは最大で80mA程度の消費電流になると推測され30Ωにより2.4V、ショットキーバリヤーダイオードで0.3-0.5Vの電圧降下があり駆動電圧は±12V近くまで低下します。

尚ヘッドフォーンアンプだけはLME49720ではなくOPA2134としていますが、最終的ではないものの次の理由によります。

1.低抵抗負荷ではLME49720より最大出力が大きく取れる。
  A47アンプのその後のスポット実験で、OPA2134は82Ω以下の負荷抵抗でLME49720よりクリッピング出力が20%前後大きく
  なることを発見しています。(原因不明)   82Ω以上では逆に若干下がると言う奇妙な結果となっていますが、低負荷抵抗
  での出力増大の方が恩恵を受けます。

2.オフセット出力電圧、ショックノイズが低い。
  FET入力のOPA2134は、構造的にオフセット電圧が低くなっていますし、電源ON/OFF時のショックノイズも低いという実績が
  あります。

3.OPA2134の音が好き。
  人の好みは様々で音の世界も同様ですが、私はOPA2134の音質を大変好んでいます。 これは無論物理特性では説明でき
  ない領域の話ですから理屈抜きです。 まあLME49720を色々いじってみると違った結果が出てくるかもしれませんが。



2012/03/16

一部の設計変更

約3ヶ月中断していましたが実は流し台のLED照明器具を製作している間に何となく電源回路の考え方が気に食わなくて、色々検討しなおした結果、その他のマイナーな回路も含めて設計変更しました。

電源回路の考え方が気に食わなかった!という部分については全面的にスイッチング電源に依存する考え方でした。 スイッチング電源の宿命として高周波ノイズの発生がありこれを完全に取り除くのはほぼ不可能です。 但し残っているノイズが聴感上影響するかと言うと、可聴周波数を遥かに超える領域ですからまず問題は無いのですが、オシロスコープで信号を見れば例え聴こえないとは言っても汚らしいそれらの雑音波形が見えてしまい精神衛生上は極めて良くありません。

これまで考えてきた電源はスイッチング電源でAC100Vから12V 4.3Aを得てパワーアンプを駆動しますが、その電圧を入力とするDC-DCコンバーターで±15Vを得て、ヘッドフォーンアンプを始めパワーアンプ以外の全てのアンプを駆動するという考え方でした。 その中にはmVレベルの小さな信号を増幅するイコライザーアンプも入っていたのです。

 ここまでスイッチング電源に依存するのはやりすぎではないかな?
 というのが気に食わない考え方でした。 その代案を色々考えたの
 ですが、結論としてパワーアンプはスイッチング電源で12V 4.3A供給
 は変更無しとし、その他のアンプ全ては12V-0V-12Vのトランス出力
 を整流しレギュレーターを通して±12Vを得て駆動します。
 この時に電源スイッチはトランスのON/OFFをメインとし、スイッチング
 電源は単独ではONにならないようにします。

 左の回路図は全ての変更を反映したものになっています。
 ポップノイズ対策はヘッドフォーンアンプ用とデジタルアンプ用の2つ
 を組み込みますが、回路的にはヘッドフォーンアンプ2で採用した遅
 延リレーを使う方法で、それぞれヘッドフォーンアンプの出力の
 ON/OFF
パワーアンプのスタンバイ回路ON/OFFを致します。

 音質には無関係の視覚的なことですが、
 パイロットLEDはメイン電源スイッチを入れる
と1本が赤く点灯、約2秒後に青く変わります。 これでヘッドフォーンで聴く準備が出来た事になります。
もう1本のLEDがパワーアンプの電源スイッチを入れスタンバイ機能が解除された時に緑色に点灯します。
 つまりスピーカーを使う時には青と緑の2本のパイロットLEDが点灯
 し、スピーカーがOFFの時には青のLEDのみ点灯となります。

 以上が大きな変更点ですが、マイナーな変更としてヘッドフォーン
 アンプのゲインを固定とした事、フィルターコンデンサーの容量増加
 などがあります。

 左の図のようにスタンバイ/±電源基板のレイアウトを再度検討し
 ました。 DC-DCコンバーターを外してトランスを載せていますが、
 トランスが大きいため基板は約40%近く大きくなっています。

また一番大きな3種類のアンプが載る長い基板も一部変更があり右の図のようになっています。
図の一番上にあるのが、ポップノイズ対策用リレー回路ですが、±電源の消費電流のアンバランスが大き
くならないよう、ここだけは24Vで動作させています。 またヘッドフォーンアンプの電源には大容量のコンデ
ンサーをかまして電源OFF時のアンプ動作を延長していますが、リレー回路は即断させたいのでそれの電
源はかなり下にある逆流防止のショットキーバリヤーダイオード(11DQ04)の前からジャンパーワイヤーで
導いています。
 アンプ全体の寸法には変更がありませんが、フロントパネルのレイ
 アウトには若干の変更があります。 左の図がそれですが、トグル
 スイッチが1個外れたのとLEDが1個追加されています。

 たったスイッチが1個減っただけですが実際にはあまり使わないで
 あろう部材が減り使い勝手は良くなる方向になるでしょう。

 本アンプの変更はこれで終わりでなく思考実験により更にこうしたい!などの変更がある
 や もしれません。 従ってもう少し様子を見ることにします。 それから製作に着手した方
 が賢明と考えています。



2012/04/27

製作開始

先週の3連続大ポカの余波が落ち着くまでちょっと違った事をやろうということで、電源/スタンバイコントロール基板、パワーアンプ基板を組み上げました。 それらは順調に進み簡単な動作テスト(方形波による周波数特性の確認)はOKですし、妙な発振の兆候や動作の不安定さもありませんでした。 但しスタンバイコントロール回路のリレー遅延動作は、コンデンサーの容量を100μFから330μFに増加し、抵抗も100KΩから150KΩにして4.5秒後にスタンバイが解除されるように変更しました。

±12Vの電源回路とスタンバイコントロール基板です。 C・Rの乗数をいじって電源ON後スタンバイが解除されるまで4.5秒後となるようにしました。

同じパワーアンプICを使った3作目のパワーアンプ回路。 ゲインはRfを820Ωとして38dB(80倍)にして、AUXの信号が100mVでフルパワーが出るようにしています。

100Hzの方形波はサグが観察されますが、これは低域が減衰していることを示しています。 この感じですと低域カットオフは5〜7Hz位と推測します。

1KHzの再生波形は正確な方形波そのもので、100Hz〜10KHzの周波数特性は完全にフラットです。

10KHzでは左肩がほーんのすこーし丸くなっているかな?というレベルで、周波数特性は100KHz近くまで素直に伸びています。 オーバーシュート、リンギングが全くなく動作が大変安定しています。

50KHzでは原波形がそもそもなまっていますが、そこからの変化として見ると、左肩は10KHzの時よりも丸みが大きいです。 これからすると周波数特性上限は200KHz辺りです。 動作が安定そのものであることに変わりはありません。


2つの基板が順調に出来上がって気をよくしたので、大きなオフセット電圧問題を片付けようと、このアンプのイコライザーに手をつけました。 イコライザーはもう一つ作るのですが、この基板には容量の大きな電解コンデンサーを取り付けるスペースが全く無く基板の裏側に寝かして取り付けるしかありません。 そうすると違う容量の物に交換するのが容易なので、このアンプのイコライザーで定数を決めてそれと同じコンデンサーをTV連動型でも採用する!という手順を踏みます。

 左図の赤点線内が改造後で
 右の図が改造後の基板レイア
 ウトです。 220Ωを外して少し
 移動して、コンデンサーを接続
 する穴(空色の部分)を確保し
 ます。 そして裏側に電解コン
 デンサーを半田付けするので
 すが、220μF、330μF、
 470μFと3種類を交換してテス
 トし、最終的には330μFとしま
 した。 この値に決定した理由は以下のとおりです。

 このイコライザーの入力のコンデンサー(0.47μF)と抵抗(47KΩ)
 ハイパスフィルターを形成しており、遮断周波数は7.2Hzとなっていま
 す。 一方220Ωと直列に入れるコンデンサーもハイパスフィルターを
 構成しコンデンサーの容量が少なすぎると7.2Hzより高い周波数から
 減衰するようになります。 ただし遮断周波数を下げるために容量を
増加しても7.2Hz以下にはなりません。 そこでカットアンドトライで遮断周波数が7.2Hz近辺となる最低容量を探し、それが330μFだったというわけです。

その後イコライザーとしての補正値がどうなったかについて大雑把な測定をしました。 入力信号レベルを-50dB/V(3.1mV)の一定の値とし、10Hz、20Hz、100Hz、10KHz、20KHzでの出力レベルとRIAA補正値との誤差を測っています。 その結果は、

10Hz -1.5dB、 20Hz -0.9dB、 100Hz +0.1dB、 1KHz ±0dB、 10KHz -0.2dB、 20KHz -0.1dB となっています。

低域端が若干補正不足ですが、これは超低周波雑音による弊害を避けるために前述のように7.2Hzを遮断周波数としているためです。 それを除けばRIAAに対する補償は大変うまく行っているといって良いでしょう。 従ってTV連動型アンプのイコライザーの追加するコンデンサーの値も同じ330μFにして改造する事にします。

残るはうなぎの寝床型のオペアンプが4個搭載される複合アンプですが、大きな穴あき基板がありませんので買出しをしてから製作に入ります。





小さな基板で直径8φの電解コンデンサーを2個付けるスペースなんてひねり出せませんので、こんなやりかたをしました。

左上は改造前の基板ですが、2本の抵抗を矢印の方向に1スペース移動します。 そうすると黄色矢印の部分に3スペースの半田付け可能な場所が出来ます。  それを利用して330μF 16Vを裏づけしました。

こんな固定の仕方をして困るのは、このように置いているとゴロンゴロンと不安定になるだけで、実際には15mmのスペーサーをかましてケースの底にネジ止めします。 基板上部の最も高い部品が12mmで、基板厚みが1.5mmですので、トータル28.5mm、高さ内寸は37mmですから無論取付け上の問題はありません。

その場合は裏付けの電解コンデンサーは見えなくなりますから、改造した事が判らなくなります。

後細長い複合基板が出来れば全体の組み上げに入れます。 上左は上右のパワーアンプ駆動専用のスイッチング電源で4Ω駆動(Max 19W)に対する十分な電流を供給できますが、スピーカーを鳴らさない時にはOFFです。 それ以外の全てのアンプは右手前の定電圧化した±電源でで駆動しますので、スピーカー用アンプがOFFの時には電源のスイッチングノイズは全く介在しません。



2012/05/04

最後の基板組立

イコライザーの大きなオフセット電圧問題が片付いたので残るうなぎの寝床の様な複合基板を組み立てました。 この基板は長さが222mmありますが想像していたよりも組立に手間取り、平行してTV連動型アンプ用の3つの基板を組み立てた事もあり、完成には至りませんでした。  ただ中ポカの発生を未然に食い止めトラブルは全くありませんでした。 その中ポカとは基板のほぼ中央に載せる大きな電解コンデンサー2本です。 基板レイアウトでは3300μF 25Vになっています。 そしてそのように購入してあります。

さて何を気がついたかというと、このコンデンサーまさか天板に当らないよなー?ということです。 ケースの内側の高さは38mmしかありません。 そして基板は5mmのスペーサーで浮かせ基板の厚みは1.5mmですから差し引き31.5mmの空間が残ります。 さて3,300μF 25Vの高さは31.5mm + Max2mmとメーカーのデータブックにあります。 最良の場合でも軽く天板に接触するわけで、これは変更しないとなりません。 候補は外形寸法の規格が全く同じ3,300μF 16Vか2,200μF 25Vで、いずれも 25mm + Max2mmの高さです。

数秒考えた後に3,300μF 16Vとして容量を同じに確保する事にしました。 そうした理由は電源がレギュレーターにより±12Vに安定化されているためです。 例えばTV連動型アンプの場合でしたら2,200μF 25Vにしていたでしょう。 TV連動型アンプではレギュレーターを使わない±電源としており、消費電流の変化や電灯線電圧の変動で供給電圧は大きく変化します。 そして耐圧16Vのコンデンサーでは耐圧不十分になる可能性が若干あります。 ですから25V耐圧を死守し容量減には目をつぶったのです。 どうしても容量も欲しい場合には1,000μFと2,200μFを並列に使う事で高さを抑えたでしょう。

記録を見ると高さ方向の構造検討段階ではどうやら3,300μF 16Vを考えていた形跡が残っていましたが、その後回路定数の検討の中で、コンデンサーの耐圧はかなり余裕を見る私の癖で25Vに変更してしまったようです。(因みに直径はいずれの場合でも16φなので基板レイアウトでは変更してしまっても見つけ難い。)

この基板は3個の可変抵抗を所定の位置に接着して配線を済ませないと動作テストが出来ません。 その3つの可変抵抗のナットでサブパネルに基板を固定しますから適当に接着できないわけで、サブパネルに可変抵抗を固定してそこに基板を接着する!という方法で位置精度を確保します。 それらの作業は次回となります。

配線の量が多いのとTV連動型アンプでも3つの基板を組み上げたためまだ完成していません。 沢山撚った線が見えますが、後ほど基板に固定されるVRに接続されます。

裏側の様子。 ジャンパー線やバイパスコンデンサーはまだ取り付けられていません。

組み上げる前に気が付いて事なきを得た大きな電解コンデンサー。 右端の背の高いやつ(空きスペースに挿し込んだだけ。)を間違って手配していました。



2012/05/11

最後の基板の組立続き

基板に接着する3個の可変抵抗それぞれを基板に接着するよりもサブパネルに可変抵抗を固定してそこに基板を貼り付ける方が遥かに接着位置精度を出しやすいので、サブパネルを加工しました。 高さは35mmですので、40mmの浅いシャーシの内側に立ててやれ好都合です。

基板に可変抵抗が接着できたら可変抵抗と基板の間の結線を済ませます。 残る基板から出るワイヤーは、ヘッドフォーンジャックに行く3本、2色LEDに行く3本、トグルスイッチに行く4本、そしてもうひとつトグルスイッチに行く2本です。

この状態にして動作テストを致しました。 設計時には100mV入力で所定の出力となるよう計算していますが、実際には設計時には無視していた1KΩの抵抗がそれぞれのレベル調整VRの前にシリーズに入るため-0.17dBのロスが発生します。

パワーアンプへの出力はこの1KΩとVRを通るだけですので、最大出力の10W(4Ω)は102mVの入力信号が必要になります。

録音信号アンプは増幅度が2段可変となっておりますが、ハイゲインで32.5倍(設計値34倍ですがロス補正をすると-0.23dBの誤差)、ローゲインで9.54倍(設計値は9.8倍ですがロス補正をすると-0.03dBの誤差)でした。  100mVの入力に対しハイゲインでは3.25Vの出力、ローゲインでは954mVであり、アンプ前段にゲイン調整のVRがありますので、録音レベルがかなりまちまちであってもADコンバーターへ一定の信号レベルに抑えた出力を出せると思います。 尚アンプの最大出力電圧は約10Vです。

ヘッドフォーンアンプのゲインは設計値4.3倍でしたが実測値は4.24倍でした。(ロス補正をすると-0.05dBの誤差)

何れの増幅度も使っている抵抗が±5%ランクの物ですから計算上±0.45dBまでのゲイン誤差は発生しますので、十分満足すべき結果です。 また方形波を使った波形観測もしましたが(最も簡単で大変鋭敏な周波数特性観測でもある。)、100Hzを除き原波形に大変近似した波形出力でした。 100Hzは僅かなサグを生じていますが、10Hzで1dB程度レベルが低下しています。 これは私が欲していた低域低減特性でありこれも合格です。

高さ35mmの既製のサブパネルを所定の幅に切断し穴をあけました。 丸ツマミは全て埋め込み式にしますので、ロータリースイッチや可変抵抗は全てサブパネルに固定します。

下駄となる厚さ10mmの板をサイコロ状に切断し可変抵抗をエポキシ接着剤で貼り付けました。

サブパネルに3個の可変抵抗を固定した上で下駄の下側の面にエポキシ接着剤を塗り、位置関係を慎重に調節の上で基板を接着しました。 この角度では圧着保持の様子が全く見えませんが?!

サブパネルと基板の間には4mmの隙間が出来ますので、4mm厚シナ合板を挿し込んで圧着保持をしています。

サブパネルと基板の間には僅かな隙間があったほうが良いので、0.5mm厚のプラスチック板を切って挟みました。

2時間放置してから可変抵抗を締めていたナットを緩めてサブパネルを外しました。 可変抵抗接着の相対的位置関係はこれ以上ない正確さを得ています。

他のサブパネルに固定する部材(赤矢印先のロータリースイッチとトグルスイッチ)と、サブパネルに首を突っ込むヘッドフォーンジャック(黄色矢印)とRCAピンジャック(空色矢印先)が干渉しないかの確認のため仮組立をしました。 こうなるとスカスカだったこの基板が結構実装密度が高くなるのが判ります。

このテーマの基板製作はこれで一応完了しました。 おおまかにシャーシ内のレイアウトはこのようになります。 そして次には2つの電源基板以外を所定の位置に固定し、入力、出力端子も取り付けてベストな電源基板の位置を動作確認で探し出します。

何度も申し上げますが、スピーカー駆動アンプを使わない時にはスイッチング電源がOFFですので、±2電源のトランスからの誘導ハム最少の位置とスイッチング電源がONとなった時のノイズの飛込みを最少に抑えられる位置の模索が肝要です。 それらの実験にはシャーシの加工が不可欠になりますので、ヘッドフォーンアンプ2の電気周りの完成後に着手したいと思います。


----- つづく -----


 
  
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