2008/11/14
構想
LEDを使った省エネタイプの電気スタンドを現在製作中ですが、それは寝る際に枕もとで使用し光量もそれほどなくても良いという条件と、孫という幼児が使うので安全性や安定性は絶対条件として設計しました。 また私自身が始めて使う大電流型の定電流ダイオードがかなりの癖を持つ部材であることも経験しました。
実はその製作仮定と経験の合間にAC100Vから直接直流に変換し高効率で安定的にLEDを駆動する回路のことを平行して考えていました。 実際のところ省エネ電気スタンド自身のオリジナル回路はそのような物だったのですが、幼児が触れそうな100V以上の電圧部分が多いために変更したといういきさつがありました。
そのようなAC100Vをダイレクトに直流に変換してLED点灯回路について私は非常に興味を持っています。 その理由としては、より変換効率が高く部品点数が少なく実装体積も大幅に低下するからです。 LEDを使って従来の白熱電球に置き換える照明器具を考えた場合、LEDの部品コストは残念ながらかなりの負担になりますが、て消費電力が少なく無理な使い方をしなければ従来の白熱電球や蛍光灯よりもより省エネで寿命の長いので、長期使用において元が取れると考えています。
具体的には夜中に点灯しっぱなしの玄関近くの屋外灯、照射範囲を絞ったパソコン周りで使う照明器具、物理的に駆動回路を押さえられればボールランプの置き換え、等々色々と作ってみたいアプリケーションがあります。
もういちど製作上のメリットを詳しく分析すると、トランスやスイッチング電源を使わないので駆動回路が小さく軽くなる、製作コストの低減、電力利用効率がほぼベストになる、無理のない駆動方法で超寿命、などの点があります。
但しデメリットして、高電圧で作動する部分があり安全性への配慮が重要、電灯線電圧の変動をもろに受ける、外部からの衝撃電圧(雷)などの影響を受けやすい、使用可能な部品選択幅が狭くなる点がありますので、設計は慎重に進める必要があります。
基本回路は左の図のようなもので2通りあります。 第一番目は定電流を得るのにシリーズレギュ
レーターICを使う方法です。 使用部品はこの基本回路で6点プラスLEDの本数ですから大変簡単
です。 第二番目は定電流を得るのに定電流ダイオードを使うアイデアで、この場合には使用部品
点数は更に1点減り5点プラスLEDの本数です。 従ってより簡単と言えますが、電流値を調整する
のに一番目のアイデアではR2の値を変えれば良いのに対し、二番目ではCRDを交換するかCRDを
追加する(電流を増やす場合のみ)という手しかありません。
何れの場合もLED駆動電圧は132V程になると思われるので、3.3VのLEDであれば40本、3.0V
のLEDであれば44本、2.54VのLEDであれば52本、そして2.0VのLEDの場合には66本を直列に
繋いで駆動できそうです。 これらで得られる明るさで不十分であれば、同じ回路を並列にして増加すれば良いでしょう。
さてこう申し上げると直ぐにでも作れそうですが、安定した安全な動作を求めるとなるとAC100Vを直接直流電流に変える場合、慎重に進めないとなりません。 その為に思考実験や部分実験をまだ継続しています。 例えば上記の回路に含まれるバリスターや抵抗(R1)もそれらのひとつです。 バリスターは落雷や誘雷に伴う過大な電圧で破壊しないための対策で、抵抗は電源ON時の瞬間的ながら高い電流でブリッジダイオードが破壊されないための対策です。
しかしそれら以外に通常の電灯線電圧の増減があった時にどうなるかも十分に検証しておかないとなません。 例えば省エネ電気スタンドのようにトランスで降圧した場合には直流電圧の変動は比較的小さかったのですが(100V→120Vに上昇して12V弱の余計な負荷が定電流ダイオードに掛かりました。)、AC100Vを直接直流化する場合は入力が20V上昇すると計算上28V近い追加負荷が定電流回路に掛かりより破壊し易くなります。 従ってそれらの基礎実験を積み重ねて問題が起きないようクリヤーしておかない限りいきなり製作に入るのは無謀です。
2009/01/09
駆動回路の基礎検討
以前提示した回路を基本にもう少し問題点を洗い出しておくべく机上での検討をしました。
先ず交流100Vを直流化していったい何ボルトの電圧が得られるのかを確認しておきます。 ここで使った整流用のダイオードは1N4007という入手性が良くて廉価(\20前後)なものです。 これを4本使ってブリッジ回路を組みます。 実は4本のダイオードを接続して作らなくてもブリッジダイオードでという物がありますが、耐圧の高い物は入手性がよくないのでこんな方法を取っています。 1N4007の規格は瞬間耐電圧 1000V、瞬間耐電流 30A、連続耐電流 1Aです。
回路としては左のようなものです。 以前にも触れたようにAC100Vのラインに挿入される
抵抗(20Ω2W)は絶対に省いてはなりません。 これがないと入力をONにした瞬間に瞬時
ですがダイオードに高電流が流れてダイオードは破壊される可能性が高くなります。
この抵抗はその入力ON時の突入電流を制限する役目をし簡単な計算では、100V ÷ 20Ω
x 1.4 = 7A がダイオードに流れる最大電流になります。 瞬間対電流30Aですからダイオ
ードの破壊を防げるわけです。 この抵抗は通常動作時に損失をもたらしますので面白く
ないのですが、こんな事情で省くことができません。 但し後述するように回路全体の調整
で結構重要な役目をします。
さてこの回路で出力に40mAを取り出した時の出力電圧は133Vありました。 出力電流が増えると出力電圧は若干下がり、出力電流が減少すれば出力電圧は若干上がりますが、今後のLED駆動の観点から40mAは標準的な出力電流になりますので、この133Vという値はLED駆動検討のスタートポイントになります。
ボルテージレギュレーターで定電流駆動する回路の検討
さて上記のような直流か回路でLEDを駆動する回路としてボルテージレギュレーターを使っ
た場合の問題点を検討します。 回路は左のとおりです。 LM-317は直流安定化電源用
のIC(ボルテージレギュレーター)ですが、ここではこれを用いて定電流回路を組んでいま
す。 その電流値は62.5Ωと記載された抵抗で決まり、62.5Ωは電流値を20mAとするため
に導き出されたものです。 言うまでもなくLEDに20mAの電流を流そうというわけです。
そして同じ回路を2組並列に繋ぎますので、電源回路の供給電流は2倍の40mAとなりま
す。 他のLED駆動電流値に変更したい場合には、1.25 ÷ (電流値)の簡単な計算で求められます。 例えば30mAとしたい場合には、1.25 ÷ 0.03 = 41.7Ω ということになります。 但し電源回路の出力電圧は供給電流値の変化により133Vから変化してしまうので注意が必要です。
余談ですがこの62.5Ωという中途半端な抵抗をどうやって入手するかで悩む方がいますが、2本の抵抗の直列又は並列で求めるのが最も簡単です。 例えば直列法なら47Ωと15Ω(合計で62Ω)、39Ωと24Ω(合計で63Ω)、並列法なら68Ωと750Ω(合計62.35Ω)、82Ωと270Ω(合計62.9Ω)などが良いでしょう。 若干の誤差が生じますが、安全性や動作上に影響が出ることはありません。 むしろ使う抵抗の誤差のほうが問題になりますので、誤差5%以下の物を使うべきです。
さてこの回路図には各部の電圧が3種類ずつ記載されていますが、これらは入力の交流電圧が変動した時に各部の電圧が計算上どう変化するかを表しています。 入力100Vが基本になりますので、黒字で記載された値を先ずご覧ください。 LEDを駆動する電圧は126Vとして何本のLEDを駆動できるかを計算したのが右下です。 3.0Vの場合42本を直列に繋いで126V、3.1Vの場合には40本が最大でこの時に124V、3.2Vの場合には39本が最大になり125Vが駆動電圧になります。 さて133Vの直流電圧が得られる電源回路でLEDの両端電圧が126Vになるようにするわけですから、LM317の左側と62.5Ωの右側の間には7Vの電圧降下が発生します。 そのうち62.5Ωの抵抗で発生する電圧降下は1.25Vになります。(62.5 x 0.02による。) 交流電圧の変動があると133V の電圧も上下しますが、仮に交流入力電圧が124Vに上昇するとここでの電圧降下は39Vに増大し、LED駆動電圧126Vと出力電流20mAを維持するように動作します。
ここで交流入力電圧が124Vに上昇した時として計算したのは、実はLM-317が耐えられる入出力電圧差の最大値が40Vであるため、これを超えない値として計算しています。 実際の交流入力電圧変動は±10%を超えることはまずありませんから(90-110Vが変動範囲となる。)、入力変動によるLM-317の破壊は先ず起きないでしょう。 但しLED駆動電圧が何らかの理由で低くなる場合には、LM-317の入出力電圧の差は増加してきますので、何らかの補正を加える必要があります。 その目的で挿入してあるのが、R3やR4で、実際のLED駆動電圧と126Vの差をこの抵抗で調整してやります。 例えば3.1VのLEDを40本の場合にはLEDの両端電圧は124Vですから2Vの差が出ます。 そうしたときには、2 ÷0.02 = 100Ω の抵抗としてやれば良いわけです。
もうひとつ考えておかないとならないのは交流入力電圧が下がった時で、ここでは97Vの時に電源回路の直流出力電圧は129Vに下がります。 LED駆動電圧との差が3Vになりますが、このポイントがLM-317が正常動作する限界で、これよりも入力電圧が下がるとLED駆動電流は20mAより低下し、駆動電圧も126Vから下がってきます。 結果としてLEDの輝度低下をもたらすわけですが、破壊などの問題はまったくありませんので心配無用です。 なおLED駆動電圧を126Vより低くすると交流入力電圧低下時の輝度低下は起こりにくくなりますが、逆に交流入力電圧が増大した時にLM-317が破壊しやすくなる方向にずれますので、126Vは理想的な駆動電圧であると考えて差し支えないと思います。 ということは40本前後の直列LED駆動が最小駆動本数になりそれより多くしたい場合はその整数倍とすることになります。 これはひとつの縛り条件になりますが、無駄な電気を使わない事が前提であると止むを得ません。 明るさを調整したければ駆動電流でやることになるでしょうが、前述の62.5Ωの調整で実現できます。
LM-317の動作上確認しておく必要のある項目がもうひとつあります。 それは内部損失の値でこれが増大すると破壊や動作不良になりますが、交流入力電圧が124V まで上昇しても753mW、通常の100Vの場合は115mWですから僅かに温まる程度で破壊などの心配はありません。
以上は計算上の話ですが、極めて実用性が高く安全動作する回路になると想像できます。
定電流ダイオードを使った回路の検討
もうひとつの駆動回路として定電流ダイオードを使った場合について検討しておきます。
左がそれですが、レギュレーターを使った時よりも素子数が少なくて済みます。 この場合
にもLED駆動出力電圧が126Vになるよう検討してみました。 従って交流入力電圧が100V
の時のCRD(L-1822)の両端電圧はレギュレーターの時と同じ(7V)になります。
実は全く偶然なのですが、7Vの両端電圧というのは都合が良いことが判りました。
右の図はメーカーが公表しているL-1822の出力電流値と両端電圧の関係を表すグラフで、両端電圧が'7Vの時に出力電流は最大となり20mAと読めます。 そしてそれ以上又は以下において出力電流は低下します。
さて交流入力電圧が変化した時の計算をしてみました。 この図では入力電圧が119Vになった時が動作上の上限であることを示しています。 何がその上限を決めるかというと、CRDの内部損失の値で45℃以下で500mW以下に抑えないとなりません。 図に示すとおり入力119Vで内部損失は484mWと上限に近づいています。 こんなことからレギュレーターの時よりも最大許容交流入力電圧は低めになりますが、入力電圧変動が±10%以下であればこの違いは問題にはなりません。
問題は入力電圧が変化した時で、CRDの出力電流は20mAより減少します。 右図からそれを読み取ると交流入力電圧が119Vになった時には約15mA、96Vになった時には約14mAになります。 当然ながらLEDの明るさは減少してしまうわけで、これが実用上支障になるかどうかは別として、レギュレーターを使った時には全くなかったことです。 また出力電流値の調整や補正をすることは全くできませんので、真に安定度や駆動電流をコントロールしたい場合にはレギュレーターを使った方が有利と言えます。
但し以上はかなり安定性、安全性を重視した場合に言えることであり、LEDと直列に抵抗を繋ぐ方法に比べれば格段に高い安定度と安全性を有しています。 この場合もLED両端電圧と126Vの差異は抵抗(R2またはR3)で調整可能です。
2009/01/16
駆動回路の動作確認

机上の計算結果だけで製作に入るのは早計ですの
で、確認の動作実験をしてみました。
結果としては大きな問題ではないものの、前述の机
上の計算とは少々異なる部分があり、やってみて良
かったと思います。
左の図は動作確認実験の為に組んだ回路で、入力
電流制限抵抗を5種類から選択できるようにしたこと、負荷電流を20mA、40mA、60mAから選択できるようにしてあります。 それと前の回路では入れていなかった瞬間的な衝撃電圧を吸収するためのバリスターも加えてあります。
部品点数がかなりありますので一番小さな穴あき基板(省エネ電気スタンドの時と同じ大きさ)に何とか収まりましたが、実際の駆動回路では必要ない部品がありますので、この半分の大きさに収まるでしょうし、高さのあるトランスがありませんから容積では1/4位になるでしょう。
もちろん重量は大幅に下がります。(基板のレイアウトは右上の図をクリックしてください。)
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使用部品。 左から47μ250V電解コンデンサ、3W金属皮膜抵抗、2W金属皮膜抵抗、1/2W炭素皮膜抵抗、整流ダイオード(1N4007)、バリスター、ボルテージレギュレーター(LM-317T)、穴あき基板(47mmx72mm)
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AC電圧はスライダックで可変できるようにしました。 この基板はAC100VによるLED駆動の標準テスト回路になるでしょう。
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基板の全景です。 実働回路では右端の抵抗は1本のみ、左の大きな4本の抵抗はなくなり、レギュレーターがもう一組入る程度ですから半分の大きさになるでしょう。
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これで交流入力電圧を100V一定にして入力電流制限抵抗を20Ωから下げながら各部の電圧をチェックしました。 その結果は以下のとおりです。
負荷1: 6.65kΩ接続20mA定電流と負荷2: 6.63kΩ定抵抗 (合計40mAの負荷電流に近似)
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入力制限抵抗 |
TPA(V) |
TPB(V) |
TPC(V) |
TPB-TPC(V) |
交流入力電流 |
交流消費電力 |
20Ω |
131.0 |
129.4 |
128.2 |
1.213 |
50mA |
5.0W |
18Ω |
131.4 |
130.0 |
128.3 |
1.215 |
52mA |
5.2W |
15Ω |
131.6 |
130.2 |
128.3 |
1.215 |
52mA |
5.2W |
12Ω |
131.8 |
130.4 |
129.4 |
1.230 |
52mA |
5.2W |
10Ω |
132.0 |
130.9 |
129.7 |
1.24 |
52mA |
5.2W |
この結果を見ると、あれっ話が違うぞ!?という所があります。 第一番目がTPAの電圧値で机上の計算では133Vでしたが、一番電圧が上がるであろう制限抵抗を10Ωにした時でも132Vに留まります。 駆動電圧不足というわけですが、スイッチON時の突入電流防止のためにはこれ以上抵抗値を下げたくありません。(以前1N4007で同じような回路で40mAを取り出した時には133V出ていたので不思議です。)
第二がTPBとTPC間の電圧で、レギュレーターICのデータシートでは正常動作している時に1.25V±0.05Vとなっています。 その範囲に入っては居ますが入力制限抵抗を小さくして行くと徐々に値が大きくなっています。 これはレギュレーター両端電圧が低すぎてまだ安定した制御領域に入っていないことを示しています。 ちなみにTPAとTPC間の電圧の差を見ると3.3V以下になっており、机上の計算である7.0Vから大幅に下回っています。
LEDの駆動電圧(TPC)は128.1-129.7Vと計算値より大きめで6.65kΩという値が大きすぎたようです。 計算値の126Vで20mA流すと、126÷0.02=6.3kΩになり確かに高すぎるので、更に手持ちの抵抗を探して6.25kΩを作りもう一度テストしました。 この時は入力電流制限抵抗は10Ωのみで測定しました。(直流電圧不足から出来るだけ損失を減らしたいので。) その結果は次のとおりです。
負荷1: 6.25kΩ接続20mA定電流と負荷2: 6.63kΩ定抵抗を同時 (合計40mAの負荷電流に近似)
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入力制限抵抗 |
TPA(V) |
TPB(V) |
TPC(V) |
TPB-TPC(V) |
交流入力電流 |
交流消費電力 |
10Ω |
130.8 |
127.9 |
126.5 |
1.260 |
53mA |
5.3W |
今度はLED駆動電圧が126.5Vと机上の計算に近しくなり、TPB-TPCの値も1.26VとレギュレーターICが十分な制御状態に入っていることを示しており一応満足できる範囲になりました。 負荷電流は、レギュレーターIC経由が20.1mA、6.63kΩ抵抗負荷経由が19.7mAの合計39.8mAでほぼ設定通りです。 消費電力は5.3Wとなっておりますが、駆動LED本数は80本近くになるはずで、省エネ電気スタンドの場合40本のLEDを駆動して4.7Wであったことを考えると、駆動電流の違いを考慮してもかなりの省エネ化が実現できそうです。
ただひとつだけ問題なのはTPA-TPC間の電圧値で、4.3Vという値はレギュレーターICの制御範囲に入っているものの交流入力電圧がちょっと下がると(約98V)、制御範囲から外れてしまいます。 机上の計算ではAC100Vの時にここの電圧は7Vと考えていました。 2.7V不足をどうするかはLED駆動電圧(従来は126Vと考えていた。)を123-124Vに引き下げてやれば良いでしょう。 これはLED1本を減らすことに相当し以前計算した駆動可能本数を1本ずつ割り引かないとなりません。
LED多数本の駆動テスト
手元に電球色5φの砲弾型LEDが50本ありましたので、これを使って実際に駆動実験をしてみます。 負荷電流が増大した時にどうなるかを見たかったので、LED40本近くのみの駆動と別な抵抗負荷(6.63kΩを使った20mA相当。)を2系統使いましたので、20mA、40mA、60mAの3種類でそれらの変化が判ります。
そのLEDは3.2V、20mAがメーカー発表の規格です。 駆動電圧を前述のように123-124Vにしたとすると38本駆動できることになりますが、これはあくまで計算上の話で実際にはLEDの両端電圧はかなりばらつくのが普通で(白色、青色、電球色などではバラツキが大きい。)、多少の増減があり得ますので目安程度と考えたほうが良いでしょう。
テスト運転の40本近くのLEDはブレッドボードを使って接続しました。 上下方向に63個の穴があいておりそれらの間は絶縁されていますが、横方向の5個ずつの穴は接続されています。 挿しこんだLEDはそれこそ不揃いになりますが、短時間で用意が出来LEDに半田付けの傷もつかないので大変好都合です。
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LEDを挿しこんだブレッドーボード。 半田付けなしで広範な電子回路の実験が容易に出来る。
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LED駆動テスト中の様子。 小さな基板でかわいらしいが、100V以上の電圧を扱うので感電しないよう十分に注意が必要。
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以下にテスト結果を一覧にしておきます。 ここで点灯させたLEDの実本数は37本又は38本ですが、ダミー抵抗をかませた時は合計で何本相当になるかを記入しました。
負荷1: 6.25kΩ接続20mA定電流 負荷2: 6.63kΩ定抵抗20mAに近似 負荷2: 6.63kΩ定抵抗20mAに近似
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LED本数 |
負荷電流計 |
制限抵抗 |
TPA(V) |
TPB(V) |
TPC(V) |
TPA-TPC(V) |
消費電力 |
76本相当 |
40mA |
10Ω |
131.5 |
128.1 |
126.8 |
4.8 |
5.2W |
74本相当 |
40mA |
10Ω |
131.5 |
124.9 |
123.6 |
7.6 |
5.2W |
111本相当 |
60mA |
10Ω |
130.0 |
125.1 |
123.7 |
6.8 |
7.8W |
37本 |
20mA |
10Ω |
133.1 |
125.1 |
123.8 |
8.8 |
2.6W |
38本 |
20mA |
10Ω |
132.3 |
128.1 |
126.8 |
5.4 |
2.6W |
この結果に対して私は十分に満足しています。 40mAの負荷電流の時にLED駆動電圧は123-124V辺りがベストと考え、LEDの駆動本数を123÷3.2 = 38.43との計算から38本でスタートしたのですが(最上段)、残念ながらTPA-TPC間の電圧は4.8Vと理想的と思われる7Vに対し不足しています。 これは使用したLED38本の平均両端電圧が126.6÷38 = 3.33Vと、メーカーの発表値(3.2V)より高めであることを意味しています。 そこでより適切な駆動状態にするためLED本数を37本に減らしたのが2番目で、TPA-TPC間電圧は7.6Vと私が求めている値の近傍になりました。 そしてLED駆動電圧(TPC)は123.6Vとこれまた望む値になっています。
こんなことから、使用したLEDの適正な駆動本数は37本ということになります。(常に37本になりとは限りません。 LED両端電圧のバラツキにより適正駆動本数は変化する可能性があります。) 更に負荷電流を60mA、20mAの時に各部の電圧がどう変化するかを見たのがその下の各行になります。 興味深いのは40mAから60mAに負荷電流がアップした時のTPAの値は1.5V下がった程度で済んでいることで、これによるLED駆動本数調整は減らす必要がないかまたは1本減らすかの範囲で済みそうなことです。 今回の場合にはTPA-TPC間電圧が6.8Vと理想的な電圧(7V)に対し0.2V低い程度ですから、37本から減らす必要はありません。
37本で20mAの場合には電源の出力電圧が上昇するためTPA-TPC間の電圧は8.8Vと少々高めですが、このままでも先ず問題は生じないと思います。 因みに駆動本数を38本に増やしたのが最後ので、TPA-TPC間の電圧で5.4Vに下がっています。 このままだと電灯線電圧が下がった時に定電流を維持しにくくなります。
結論としては、20-60mAの負荷電流であれば、TPCは123-124Vがベストなようであることで、これがLED駆動電圧の目安になります。 また別な言い方をすれば、TPA-TPC間電圧が6.5-9.0Vであれば、交流入力電圧が増大してもレギュレーターが破損することは先ずないでしょうし、97V以下になるとLEDの明るさは減少しますがこれで破損することはありませんので、この回路と同じ部品を使う限り調整上のガイドラインになると思われます。
また今までの話を元に標準回路と実際に製作する場合の調整法は次のようになります。
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ご注意: このページで記載している情報を元に製作すれば、安全に所定の動作や結果が得られることを保障するものではありません。 また高電圧で作動する回路ですので、感電事故や焼損事故等に注意した作業が必要です。 |
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ここで導かれた標準回路を使った実際の作品については近日中に数点後紹介する予定です。
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